クラブ・モナミは今夜も酒の匂いとクレイジーな音楽と

ハイテンションな人種で充満していた。

正確には狩り合う男女で埋め尽くされていた。

アルコールに弱い俺をこの場所に呼び出したのは

大学院の研究室で声をかけてきた同窓の三上剛英だ。

それ以来の付き合いだが

俺が思うに付き合いと言えるほど親しいわけではない。

彼はかなり裕福な家庭の育ちで

容姿端麗の上に頭脳明晰だ。

女はより取りみどりで

いや、男もだ。

交遊関係は盛んなタイプだ。

友人の数は少なく見積もっても百人はいるだろう。

その中に俺が入っていること事態

未だに不思議だと思う。

恐らく何かの手違いだ。