翌朝

心地の良い風が鳳舞たちの頬を撫でた。

その風に目を覚ましたのは鳳舞。
素早く周りの状況を確認し、安全である事を確かめた鳳舞は思わず「やってしまった……」と呟く



「よく寝てたな」

「……ごめん。ずっと起きてたの?」



どこからともなく降ってきた声に、驚くことなく問いかける鳳舞。

視線は木の上に向いている。
そこには太い枝に座り、辺りを見渡している琉飛の姿があった。



「仮眠はとった」

「起こしてくれればよかったのに」



今回の火の番は俺だったでしょう?と困ったように言う鳳舞。

彼らは稀にある3人での任務の時は交代で火の番をしていた。

もちろん、本来は交代しながらの見張りではあるが鳳舞も琉飛もわざわざ交代を申し出ることはない。

琳埜も自分から交代の時間を知らせる事は無いのだが、鳳舞と琉飛が自分で起きて交代をしているため琳埜が一晩中見張りをすることはないのだ。

その点、鳳舞と琉飛は比較的寝ずに任務を遂行する仕事が多く見張りを任された時は一晩中見張りを請け負っていた。



「今回は俺が火の番だと思っていたんでな」

「…………ありがとう」

「……ん」