「久しぶり!夢乃!!俺を追って、桜 北高校に入ったんだろ?」

またこの人か。私、夢乃は小さくため息をついた。

「お久しぶりです。高橋先輩」

1秒でも早くこの人から離れたい私は、それだけ言って立ち去ろうとすると

「えっ、それだけ?ほんっとツンデレだなぁ!そういう所も可愛いけど!」

そう言って、腕を絡めてくる。

この人は、高橋滉貴先輩。
中学校が同じで、中学の時から何かと絡んでくる。

ハッキリ言って、迷惑な人。
もう、うんざりだ……


そこで私は、いいことを思いついた。
彼氏ができたってことにすれば、いいんじゃない!?

私は先輩の腕を振り払った。
「そうだ!先輩、私、彼氏できたんですよ!」

先輩の動きが一瞬止まった。

「…………は?」

うわ。あきらかに怒ってる。

「誰?どこの学校?早く教えろよ。」
流石にヤバいと思った私は、とっさに、近くにいた男子生徒をつかまえて、

「この人!」と言った。

男子生徒は、ポカンとして、私を見ている。ごめん!と、心の中で謝った。

先輩は目を細め、不機嫌そうに言った。
「へ〜ぇ。コイツが夢乃の彼氏?」

話を合わせてもらえるよう、説明しなきゃ!でも、先輩に気づかれないようにしないと……。どうしよう!

すると、男子生徒が口を開いた。

あ、と思った時にはもう遅い。

「は?何言ってんですか?」