いつもより早く職場に着いたと、椅子にドカッと腰を沈めた。

「はあ~」

思い切り溜め息をつき、用意してきた花を手に取り立ち上がる。

窓辺の花瓶を抱え、給湯室に向かうと先客があった。

「大きな溜め息だな」

会長代行は私がハッとして、固まり動けずにいるのを見て、穏やかだけど何処か冷めた表情をしていた。

「……いらしてたんですか? お早いですね」

「気になる案件があったからな」

会長代行は言いながら、そっと手を伸ばした。

「花を生けるんだろ。花瓶をこちらへ」

「いえ、自分で」

「……そうか。ではFAX用紙の補充は俺が」

「えっ!? 会長代行」

「遠慮するな。1人で何でもするより手分けをしたほうが早い」

真っ直ぐに私を見つめ、微笑んだ顔が有無を言わせない。

「では、お願いします」

会長代行にFAX用紙の補充は素直に任せることにして、花瓶の花を入れ換えた。