ガタンと重い鉄の扉が閉まる。
狭い道を進んでいると、急に広い部屋に押し出された。


紅い照明が照らす部屋。剣や額縁が立て掛けられている、妖しげな場所。
学園祭の劇で使っていたもの?なら学園祭についてか。


男子が剣を持って遊びだす。私は飾られている絵を見た。
女の人が燃えている絵。手を伸ばし、叫んでいる。恐ろしい表情だった。


「何これ怖っ!あしっちゃも怖いよね!?」


新美 南月(にいみ なつき)が私の顔を覗き込み、同意を求める。
新美さんとはLINEでも一応友達だ。ある日私に向かって手を振るから振り返したら、面白がられてその繰り返しが続いた。
時々、遊ばれているなあと思う。そんなのは今に始まったことじゃないけど。


待ち時間があるならスマホ持って来たらよかったな。
奥の照明がもう一つ点いた。やっぱり持って来なくてもよかった。



「生徒諸君。これより、学園祭を始める」


若い男の先生が言う面白くない冗談。それでも皆は笑った。



「笑っていられるのも今の内ですよ。何故なら……」


紅くて丸い光が飛んでいる。奥にいる人の顔を照らした。



「君たち選ばれし人間のクラスには、ここで僕が満足するまで死んでもらいます」


そう言った人の後ろには、五人の首吊り死体があった。


これは悪夢だ。現実でこんなことがあってたまるか。
足でも手でも目でも、何でもいいから動かせ!目を覚ませ!
私は頬を引っ掻いた。しかし、暗い世界は変わらなかった。


この頬以上の痛みを感じることになるんだ。