《慶side》
白い世界でどんどん小さくなっていく萩花の背中。
いくら名前を呼んだって萩花は振り向かない。
行くな…
ずっと俺のそばにいてくれよ…っ萩花…!!
そんな焦る気持ちとは
裏腹に俺はそっと静かに重い瞼をあげた。
そこには忍と舞花が俺の顔を見ながら「慶…!」と嬉しそうに名前を呼んだ。
久しぶりに見た舞花は何も変わっていなかった。
しいていうならまた少し大人っぽくなったくらい。
忍とも以前のように戻れたような気がする。
「慶…色々と悪かった。
全部、光輝から聞いたよ」
「俺の方こそ悪かった」
少し、気まずい空気が流れる。
「なんでもっと怒らねぇんだよ」
怒るも何も……
「お前は俺の中では唯一のライバルなんだよ」
そういって、そっと忍に手を差し出す。
いつだってお前は俺のライバルで隣にいる存在だった。