《萩花side》
時が経つのはあっという間で慶さんと過ごせるのもあと四日だけになってしまった。
この三日間、たくさん注がれた愛情はあたしの胸をあたため、それでいてぎゅっと締め付けた。
学校から慶さんの家に帰宅途中、
ふと聞こえてきた会話。
「なぁ、明日さ…
五十嵐さんを問いただすんだって?」
「らしいな。
五十嵐さん、俺らを捨てて
新しい族作ろうとしてるって噂あるし」
ウソ……
思わず、立ち止まって聞き入ってしまった。
聞くつもりはなかったけど、
聞いてしまったものは仕方ない。
紅嵐はなくなってしまうの…?
慶さんが自分の立場を捨ててでも守った紅嵐が。
「どーなんだろうな。
もし本当だったら許せねぇよな」
「まあ、それは明日倉庫で聞こうぜ」
明日……か。
一応、慶さんに話してみようかな。
あたしは歩くスピードを速めて家まで帰った。