《萩花side》
慶さんの過去を聞いてから一週間ほどが経った。
正直、お姉ちゃんの話は驚きしかなかったけど
お姉ちゃんも期待に押しつぶされそうになっていたのだと思うとあたしなんかよりもずっと大変だったんだな、と率直に思った。
「今日の夕飯何にすんの」
「んー、何がいい?」
慶さんと手を繋いで“BlackCity”の街中を歩く。
なんか話を聞いた日から慶さんがとても甘くてあたしは困ってます。
「俺に聞くなよ」
まあ、相変わらず冷たいのは変わらないんだけどね。
「えー、一緒に考えてくれたっていいじゃん」
「お前が考えろよ」
「ケチだなぁ〜
そんなんじゃモテないぞー」
「お前にモテてたらそれでいい」
なっ…!
またそんな歯の浮くようなセリフを
サラッと言っちゃうんだから!