ケータイ小説 野いちご

【完】溺れるほど、愛しくて。

忘れられない




《萩花side》



赤髪の彼に会ってから数週間が過ぎた。


お母さんに言われてからはちゃんと車で帰っていたけど…どうしてもあの日出会った彼のことが忘れられないの。


考えないようにしていてもふとしたときに頭の中にいるのは彼で、


朝、目を覚ました時に考えるのも彼のこと。


こんなに人のことを考えるのは生まれて初めてかもしれない。



「お嬢様。今日も……」


「ごめん、狭間さん。
今日は寄るところがあるから」


「なら、車で…」


「ごめんなさい。
明日はちゃんと車で帰るから」



学校が終わり、狭間さんにそう告げる。
今日だけ……今日で終わりにするから許して。


「今日だけですよ」



あたしの最近の態度が大人しいからなのか狭間さんは呆れたように、でも優しく微笑みながらあたしに手を振った。



「ありがとうございます」


「その代わり
ご無事で帰ってきてくださいね」


「うん、じゃあね」



狭間さんが執事でよかった。
こんなワガママ、彼じゃなかったら聞いてくれないもん。




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