「すいませーん。」
「はーい。」
秋元星鎖(あきもとせいさ)、20歳。
今年の4月23日に20歳になったばかりで大学2年生である。
地元から東京の大学に通うため、進学と同時にこの東京でひとり暮らしを始めた。
両親からの仕送りもあり、なんとか生計は立てているが…。
「店員さーん!」
「少々お待ちください〜。」
やはり東京。地価や物価も地元よりは高い。
仕送りだけでは1ヶ月ギリギリの生活である。
ひとり暮らしを始めて数ヶ月経ってからバイトをいくつか始め、今では財布にも余裕ができるほどになった。
今しているのは居酒屋のバイトだ。
高校時代の2つ上の先輩(女)に
『居酒屋は色々勉強になるからオススメだよ!』
と言われ、やってみてはいるがやはり忙しい。
選んでしまったのは居酒屋の中でも人気のある店らしく、平日にも関わらず夜遅くまで人が絶えない。
明日も講義があるため夜10時には上がらせてもらえるが、1週間のど真ん中である水曜日はやはり疲れがたまる。
「秋元さん上がっていいよ。」
「ありがとうございます。お疲れ様でした。」
今日の営業は終了。
体が鉛(なまり)のように重い。早く家に帰って長い付き合いの布団にでも入りたいところだ。