明音さんに手を引っ張られ、俺たちは電車から降りた。と同時に、今、俺が勢いで告白してしまった明音さんに手を握られていることを急に意識してしまい、恥ずかしくなった。明音さんも勢いで俺の手を引っ張られしまったのに気付き、少し恥ずかしそうに、手を離した。そして、深呼吸をして、俺の方を向いた。
「とりあえず、貴方の名前、教えてください」
「えっ、あっ、えっと…。俺は、大森 優声。大きい森に、優しい声と書きます」
「確かに、貴方…いや、大森さんは優しい声してますもんね」
「そ、そんなことは…。あ、明音さんこそ、凄くいい声です。あの…さっき、勢いで言っちゃいましたけど、本当に明音さんが好きです。初対面で、一目惚れとか言われても信じられないのはわかってます。でも、貴方が、明音さんが好きです。好きなんです」
そう言いながら、俺は明音さんの目を見た。すると、明音さんが顔を隠すように帽子を深く被った。
「そんな、こと、急に言われても困ります。けど、貴方の気持ちはわかりました。だから…」
明音さんは帽子で隠した顔を見せて、少し赤らめながら、
「とりあえず、友達から始めませんか?」