「嫌、嫌だ!待って、私を置いて死なないでよ!まきろーーーーーん!!!」

両手にしているスマホに向かって大声を上げた、土曜の昼間。

ソファに正座をしている私の隣に腰をかけている真樹が、両手で耳を抑えるとあからさまに嫌そうな顔をした。


「みぽりん、うるさい。あとはみぽりんの頑張りにかかってるんだから、俺の死を無駄にしないように頑張って」

「……わ、分かった。あんたが庇ってくれて守られたこの命、大事にす……って、あぁぁ!打たれた!死んだ!やばい!まきろん!」

「はぁ⁉︎ 俺の死、無駄じゃん。ほんと、みぽりん流石に弱すぎだわ」

「はぁ⁉︎ だって、あんたが先に死ぬからでしょ⁉︎ 一人で不安なんだもん、仕方ないじゃない!」

「はあ、庇うんじゃなかった」

「何⁉︎ 酷い!でもね、こっちは庇ってくれなんて頼んでないんだから!」


ぶうぶうと文句を並べながら、引き続きスマホを操作し続ける。

「はは、可愛げないな」

感謝して欲しいところなんだけど、と付け足した、隣でスマホを操作している真樹の言葉に、私は眉間にしわを寄せた。


「うるさい」

ぼそっと呟き、またゲームに没頭する。

真樹に言われた言葉は、五年前に付き合っていた彼氏にも言われたことがあった。

別れを告げられた日。甘え下手な私のことを、彼は「美帆って、顔はいいのに可愛げがないよね」なんて言って、最後だからなのか、遠慮もなく私の心に傷をつけた。

もう五年も前のことだ。別に、今更古傷が痛むわけではないけれど、少しくらいは気になる。

ゲーマーでヲタクなのも理由の一つかもしれないけれど、こんなだから、私って彼氏ができないんだろうな。