「今回も時間はいりません」


そう言ったのは裕司だった。


裕司は真っ直ぐに先生を見ている。


「ほほぉ。みんな、いいのかい?」


先生は教室内の生徒たち1人1人を見ていく。


「俺は……時間が欲しい」


「俺も」


そう言ったのは星夜と和の2人だった。


次で投票されると分かっているのだから、少しでも時間を伸ばしたいのは当然だった。


「だけど、どうせ死ぬのよ」


冷たい声でそう言ったのは彩だった。


彩はすでに手にカッターナイフを握りしめている。


彩の言葉に和の表情がひきつった。


「俺は死なない!」


そう叫び、筆箱の中からカッターナイフを取り出した。