雨の日はどこか陰鬱な気分になる。


それはあたしたち生徒だけじゃなく、大人たちも同じだった。


どちらかと言えば大人たちの方が暗い表情になり、不安げに空を見上げたりする。


淡々とこなされていく授業をどうにか居眠りしないように過ごし、放課後が来た。


「今日は雨だから、真っ直ぐに帰る事」


担任の男性教師が暗い声でそう言った。


「雨の日は空から悪いものが下りて来るからですか?」


クラス内のお調子者である平松晴哉(ヒラマツ ハルヤ)がそう言った。


しかし、先生は笑わなかった。


「その通りだ」


先生は大真面目な顔をしてそう言った。