男子生徒たちが協力して悠の死体と空き教室へ運び、女子生徒たちは廊下を掃除した。


いくら綺麗にしてみても、そこには血の匂いがこびりついていて消える事はなかった。


しばらく放心状態だった梨央も真奈美に返り血をふいてもらい、体操着に着替えていた。


「あたし……悠を殺しちゃった」


自分の席に座る梨央はそう呟いて自分の両手を見つめた。


泣くでもなく、叫ぶでもなく、ただぼんやりと自分の手を見つめている。


「梨央。しっかりして」


里子がそう声をかけても、梨央は瞬きを返すだけだった。


自分の手で自分の彼氏を殺す。


その精神状態はきっと極限だったんだろう。


けれど、梨央は教室から出て行こうとはしなかった。


教室を出て戻って来なくなるとどうなるか、しっかりと記憶に刻まれているようだ。


「よーし。じゃあ次の投票にうつるぞ」


クラス内が少し落ち着いた頃、先生がそう言った。