先生から開始の合図が出ても、あたしたちは動くことができなかった。


できるワケがなかった。


話し合いと言われても、何を話しあうべきかがわからない。


真奈美が窓を開けようとしているけれど、ビクともしないようだった。


先生は校舎へ入ることができたのに、あたしたちの隔離状態はまだ続いている。


誰も何も発言しないまま、10分が過ぎた。


このまま投票したって、票が割れるか何も書かれないままの投票になるか、どちらかだろう。


「お前ら、話し合いもできないのかよぉ!」


しびれを切らしたように先生が言った。


みんなが一瞬ビクリと体を震わせた。


先生の血肉の匂いが教室中に充満してきている。


「仕方ねぇなぁ」


先生はブツブツと文句を言いながら動き出した。