少し耳障りに感じられるくらいの雨が降っていた。


昨夜から振りはじめた雨はバラバラと音を立てながら今まで振り続けている。


風が吹いてあたしの傘を揺らした。


空はまだ灰色で、雨が止む気配はない。


梅雨にプラスされて台風がこの島にもやってきたからだった。


あたしは学校までの道のりを歩きながら、ぼんやりと祖母に言われた言葉を思い出していた。


『雨の日は空から悪いものが下りてきて、子供たちを連れて行ってしまうんだよ』


去年病気で亡くなった祖母は、雨の日になると必ずそう呟いた。


それがなんのことを指しているのかわからずじまいだけれど、島の子供たちはみんな知っていることだった。


ここが本土から遠い島だから、激しい雨の日は船もつかない。


海は荒れて漁に出ることもできない。


きっと、そう言う事を『悪いもの』と証しているのだろう。