「ちょっといいか?」

ある日図書室で昼休みが過ぎるのを待っている時、雄輝が私の肩を叩いてそう言う。

春崎さんとは普通に話すようになったけど、二人が仲良くお昼を一緒に食べてる所を邪魔したくないから私はここ数日図書室で静かに本を読みながら時間が過ぎるのを待っていた。

「なに?」

「お前はあのままでいいのかよ。
凌のやつ、本当にお前が友達として好きでいてくれてて友達として複雑なんだと思う。とか言ってたけど?」

「なぁに?
心配して来てくれたの?優しいねぇ雄輝は」

凌は昔から勘がいい。
だけど、私が凌に恋してるっていうのは気づかない。

自分のことに関しては鈍感なのかな?

「自惚れんなアホ。
お前と凌がくっついとけば全て纏まるって話ししてんだよ」

「でも、凌の幸せ壊したくないし。
ていうか、雄輝こそ人のこと言えないよね?」

そう言い返すと雄輝は、口ごもりため息をつきながらしゃがみ込んだ。

「うるせぇよ。
ぜってぇ麻宏には言うなよ。」

「はぁ?
だったら、雄輝こそ私にとやかく言わないでよ。
今の関係が壊れて離れてしまうのが怖いのはお互い様でしょ。」

そうだ。私が凌になにも言わないのは、今の関係が壊れてしまうのが怖いから。
凌と離れたくないから。

それは、雄輝も同じだと思う。

雄輝が春崎さんを見る目は一人の女の人として見る目だった。