登校してからも気持ちは高ぶったままだった。

授業中もハルトの背中を見つめると、頬が緩む。

入学式の日、あたしとセイラが一緒にいた時、声をかけてきてくれたハルト。

――俺、清水ハルト。てかさ、受験した教室一緒だったよな?

ハルトはセイラではなくあたしに向かってそう微笑んだ。

正直、驚いた。

だって受験した教室はセイラも一緒だったし、二人で一緒にいると印象に残っているのは大体が可愛いセイラのほうだから。

それなのに、なぜかハルトの記憶にはセイラではなくあたしが残っていたらしい。

――あっ、うん。同じだったかも。

――やっぱりそうだよな?同じクラスだしこれからよろしくな!

そう言ったハルトの笑顔に胸が震えた。

もうその瞬間にあたしはハルトに恋に落ちていた。

大体の男の子はあたしを踏み台にしてセイラに近付こうとする。

――神条ってどんな男がタイプなの?

――セイラちゃんって付き合ってる奴いんの?

中学時代、声をかけてきた男の子はみんなセイラの情報を仲の良いあたしに聞きたがった。

でも、ハルトは違った。

一緒にいてもセイラの話をしないし、あたしという人間をちゃんと受け止めてくれる。

ハルトと一緒にいると居心地がいい。

心の中ではハルトと付き合うことを望んでいたけど、まだ告白をする勇気がでなかった。

そんな矢先、ハルトにデートに誘われて浮かれないはずがない。