「セイラ、おはよう！」

翌朝、気持ちを落ち着かせるために一度大きく息を吸い込んでから教室に入りセイラの席に歩み寄る。

「あっ……真子、おはよう。あのさ、昨日――」

「ごめん～！返事返そうって思ってたんだけど、寝ちゃってさ」

「そうなんだ……？」

セイラは明らかにあたしの顔色を伺っている様子だった。

今までセイラからのメッセージはすぐに返信していたし、遅れたとしても必ず返信はした。

返事をしなかったのは昨日が初めてだった。

本当は、今の今までずっと悩んでいた。

これからどうセイラに接していくか。

だけど、セイラとハルトが付き合い始めたということは紛れもない事実。

昨日は動揺してしまったけれど、こうなってしまったからには気持ちを切り替えなくてはいけないのかもしれない。

今のあたしにできることは悲しいけれどそれしかない。

いまだに胸は痛むけど、いつかは……きっと癒えてくれるよね……？


「でさ、今日のハルトとのデートの付き添いだけど一緒にいくよ」

「え……？本当にいいの？」

目を輝かせるセイラ。

「もちろん！だって協力するって言ったでしょ？」

それは本心だった。親友のセイラの為にあたしができることはしよう。

たとえ、それが自分の大好きだったハルトだとしても。

「ありがとう、真子。すごく心強いよ」

「ふふっ、だってあたし達親友じゃん？」

ホッとしたようにはにかむセイラに微笑み返す。