「セイラ、隣のクラスの男の子が呼んでるよ~!」

教室でしゃべっているあたしとセイラの頭上からクラスメイトの声が落ちてくる。

「あっ、うん。話途中なのにごめんね。ちょっと行ってくるね」

「そんなの気にしないで!いってらっしゃい!」

「ありがとう、真子」

セイラはあたしに謝るとすぐに席を立った。

染めていないのに色素の薄い茶色い髪の毛。

セイラが歩くとストレートの髪が左右に揺れる。

まるでシャンプーのCMみたい。

教室の扉の辺りには表情を固くて緊張している様子の男の子が立っている。

セイラが近くまでやってくると、男の子は一言二言声をかけると廊下をぎこちなく歩き始める。

男の子のその様子に心の中で『頑張れ!』とエールを送っていると、

「――神条、告られんの今月で何回目?」

あたしの前の席に腰を下ろした清水ハルト振り返りそう尋ねた。