あの日から私達の関係は変わり、
私があの日後悔したのは変わらなかった。

「伝えなかったせいでこんなに好きにさせられるなんて…」

今までの事を思い出しながら、
思わず口にしてしまう。

「ん?なんか言ったか?」

まだ始まってもいないのに嬉しそうな顔してるし、ほんと、もっと早く伝えればよかった。

「なんでもなーいっ!」

笑顔で顔を背ける私。
少しくらい意地悪したっていいでしょう?

「あ。」

何かあったのかと、思わず振り向くと
秋夜の唇が私のに触れた。

「恋人としては、これが最後だから。」

にっと悪戯っぽく笑う顔が、
あの日の憎たらしい笑顔にそっくりで
馬鹿なんじゃないかって思うんだけど
やっぱり大好きで。

「秋夜のばーかっ。」

そんな悪態をつきながら心の中で完敗宣言をする。

「お前なぁ…」

呆れたような声だけど、
相変わらず嬉しそうな顔をしてる。
あの、私が気持ちを伝えた日から
秋夜はいつもそうだ。

ほんと、ばか。

その時、ノックの音がして
返事をすると静かに扉が開いた。