「下の奴らに紹介しなきゃな」

そっか、下っ端君達に
あたしの紹介しなきゃね。

幹部室から出たのはいいんだけど、
足がすくんでしまったみたい。

礼君達はあたしを
信じてくれたけど
下っ端君達は?

『茉緒さん、大丈夫ですよ
私達がついてますから』

侑君がまた手を繋いでくれた。

『うん』

大丈夫、もし、下っ端君達に
罵られたら、姫になるのは諦めよう。

『初めまして、
花表茉緒里といいます。

知っている人もいるかな?』

「雪花の……」

下っ端君の一人が呟いた。

『そう、雪花の元姫です。

だけど、あたしは噂に
なってるようなことは一切してない』

「やっぱり、そうなんですね」

やっぱり?

「俺達は逆に貴女がイジメに
あっていたんじゃないかと思ったんです」

勘がいい奴なのか?

『イジメまではいかないけど
嫌がらせはされてたわ(苦笑)』

あたしの言葉に礼君達も
吃驚しているようだ。

『あの二人には言わなかったんですか?』

泉と琢海には言えなかった。

『言えなかったが正しいかな』

ただでさえ、あたし側に
居てくれるのに
嫌がらせされたるなんて言ったら
雪花をほっぽってでも
あたしを守ろうとするに違いない。

「あの、俺達
全力でお守りするんで
雨竜の姫になって下さい」

流石、礼君と侑君が
総長と副総長なだけある。

噂だけで判断しない。

『ありがとう。

だけど、命は大切にしてほしいから
ヤバいと思ったら
あたしに構わず逃げてほしい』

“姫”は守られる者。

だけど、皆の命を
危険に晒してほしくない。

「わかりました。

皆、姫さんの頼みだ
絶対約束守るぞ‼」

彼が下っ端君の
纏め役なんだな。

きっと、次の幹部候補なんだろうなぁ。

『ありがとう』

「いえ、姫さんは
時間大丈夫ですか?」

時刻は既に十九時を過ぎている。

まぁ、帰ったところで一人だ。

『うん、大丈夫だよ*♬೨

あと茉緒里でいいし、敬語もなし』

「よかった。

歓迎会の準備するから一時間くらい、
幹部室で待ってて?

あと、呼び捨ては抵抗があるから
“茉緒ちゃん”って呼ぶね」

歓迎会してくれるのか~

嬉しいね。

『わかった、それでオッケイだよ』

再び、階段を上がり
幹部室に戻ってきた。

『歓迎会は嬉しいけど
誰が料理作るの?』

男ばっかの倉庫で
誰が料理作るんだろう?

『今さっき、茉緒さんと
話してた彼が作ってくれますよ。

名前は〈陸十〉といいます』

★━━━━━━━━━━━━━━★

十一時まで騒いだ。

『茉緒さん、そろそろ帰りましょう』

確かに午前様はヤバい。

『うん。

じゃぁ、また明日ね』

皆に手を振って倉庫を出て
侑君に送ってもらった。

『侑君、ありがとう』

『いえいえ(๑^ ^๑)
明日の朝は迎えに来ます』

迎えにも来てくれるんだ♬*゜

『わかった、おやすみ』

侑君に手を振って
マンションの中に入った。

楽しかったなぁ~

お風呂に入り、眠りについた。