「光里…、放課後うち来る?その方が話しやすい」

「え?」



学校で話すよりうちで話す方がいいかと思い光里を誘えば、彼女は更に呆然とした表情を見せる。




「え、いいの?」

「?うん。誘拐のこともあって今日もオフにしてもらったから。それに、あんまり1人でいたくないし」



ダメ?と聞けば、光里は嬉しそうに「あたしでいいなら」と笑ってくれた。





***




で。




「……離して」

「無理」



放課後。


約束通り光里と一緒に帰る帰り道で、私は不機嫌にそう呟いた。




私の視線の先は自分の右手。それにはしっかりと李樹の手が重なっている。



李樹が車道側、という徹底ぶりも続行中だ。





光里もいるのに…。



李樹がここまで徹底するのは高確率で昨日の誘拐の件があるからだとは分かっている。



それでも、いくらなんでも私の隣に光里がいる状態でそれは恥ずかしすぎた。




「反応に困るよ、李樹くん」

「悪いな関本。俺も仕事なんだよ」



苦笑いする光里に発した李樹の言葉には、もう私は聞こえないふりを貫くしかない。