とある病院での出来事。



大部屋に入院しているある男は、同室にいる何人かのうち、一人の痩せた男のことが気になっていた。



この男は、来る日も来る日も夜半に部屋を抜け出し、どこかに出かけている。



そして小一時間もすると何事も無かったかのように部屋に戻ってくるのだ。



別にけたたましい音をたてて部屋を出て行くわけではない。



むしろ音も立てずに部屋から消える。



そういう意味では、男の夜間外出に迷惑しているわけではない。