どうしようどうしようどうしよう、と頭の中をぐるぐると回るそのこと。
「おい!しっかりしろ!」
「…!!どうした…?」
意識がやっとこっちに戻ってきた時、視界いっぱいにいた優太。
「どうしたじゃねーよ、こっちのセリフだ。」
「え…?」
「ぼーっとしてんぞ、」
そう言って彼は頭をぽんっと撫でると顔を洗い始めた。
「あ…ごめん、ご飯作るね、」
「無理すんな、……あ、タオル取って。」
「ありがとう、はいタオル。」
もしかして気づいているのではないかと錯覚してしまうほど会社では絶対にみせない優しい表情をしていた優太に、これ以上悟られまいと背を向けた。
が。
「う…っ」
朝ごはんの匂いがダメ。
もどしそう。
ダメ、悟られてはいけない。
そう思い、包丁にぐっと力を込めて唇に血が滲むほどかんでいた。
そんなとき、
「貸せ、ゆゆ。」