立体駐車場の5階、アクセルとブレーキを踏み間違えたのか、転落しそうになっている車。

間一髪駆けつけたダンドリッジが、それを空中で支えて落下を阻止する。

階下から見ていた野次馬達が、喝采の声を上げる。

流石はヒノモト内務卿杯武道大会で優勝した男だ。

「……」

リュートは離れた場所でその様子を見ながら、1人背を向けた。

あれならダンドリッジ1人に任せておけば大丈夫だろう。

今の自分が行った所で、かえって救助の邪魔になるかもしれない。

精霊術の使えない今の自分では…。