ミルトゥワ、西の離宮。

「リュート君が古奈美さんと婚約してお目出度いと思ったら」

リプニーは淀みない仕草で、ティーカップに紅茶を注ぐ。

本日はカモミールティーだ。

「今度はアマリリスさんがティグル君と交際を始めたなんて。おばあちゃんは嬉しい事ばかりです」

「嫌ですわリプニー様、まだお若くてお美しいのに、おばあちゃんなんて…」

恐縮しながら、アマリリスはリプニーの淹れてくれたカモミールティーに一礼する。

「今だから言いますけどね」

リプニーはニコニコしながら椅子に座った。

「ティグル君、私の部屋に来ては、侍女まで席を外させて、貴女の話ばかりしていたのよ?お風呂で鉢合わせした時は、動機が収まらない、どんな顔してアマリリスと今度話せばいいだろう?なんて相談されましたもの」

「そんな、ティグル様が…?」

柄にもなく、赤面するアマリリス。