「ダン!」

マスターたるベルの言葉にも一切耳を貸さない。

ダンドリッジは、クライムとパニッシュメントにカスール弾を装填する。

「っ……」

壁に凭れ掛かって座り込むリュートの息は荒かった。

左肩からの出血は酷い。

白い空手着は、もう真っ赤に染まっている。

痛みが消えないのは銃創だけではない。

カスール弾の衝撃で、左肩は骨に罅も入っているだろう。

どんなにグリフィノー拳闘術を稽古してきたとはいえ、リュートも人間には違いない。

カスール弾を食らえば、当然の如く重傷を負っていた。

「グリフィノー…勇者の血か。美味そうだ…が、生憎と男の血など飲む気になれん」

リロードを完了するダンドリッジ。

「あの世に旅立つにあたって、言い残しておく事はあるか」