天神学園中庭。

「やー、今日も暑くなりそうですねぇ」

着流し姿の優男が、ベンチに腰掛けて空を仰ぐ。

少し長めの鳶色の髪は、日差しを受けて透けると金色のようにも見える。

穏やかな表情を浮かべた、温厚そうな気質を思わせる青年。

その青年のもとに。

「隊長!」

1人の生徒が駆けてきた。

優男は顔を上げる。

「おや…君は確か原田さんのとこの…十番隊の隊員ですね。どうかしましたか?」

「こ、校舎玄関の所で部外者と十番隊が取り締まりの際に衝突して…」

「ああ…やり過ぎてしまいましたか…原田さんも気性が激しい人ですからねえ…」

優男は腰を上げ、ベンチに立てかけておいた愛刀を手に取った。

「どれ、行ってみましょう…やれやれ、また生徒会や学園長への言い訳考えないと…」