わたしには、彼氏がいる。
「ナナ」
HRを終えて、帰りの支度をしていた放課後。
後ろの方の扉から、誰かに呼ばれて振り向いた。
……本当は、誰がわたしを呼んだのか、声だけでわかった。
案の定、扉から顔を出して手招きしてるのは、きみ。
「なに?」
「悪ぃ!」
いきなり両手を合わせて謝ったこいつの名前は、拓麻【タクマ】。
明るめの茶髪とちょっと整ってる顔立ちが特徴の、わたしの幼なじみ。
実を言うと、わたしと拓麻は2ヶ月前から付き合ってる。
いわゆる、恋人。
告白してきたのは拓麻。わたしも好きだったから、すごく嬉しかった。