ケータイ小説 野いちご

【完】『幸福論』

●3●


数年、過ぎた。

脳溢血で中った父親が他界し、通夜の席でみなほと一徹は同席した。

が。

ここで悶着があった。

戸籍を外したのを理由に、みなほだけが施主に座って、一徹には香典を要求したのである。

みなほにすれば、

「あんたはもうこの家の人間ではないから」

という、当たり前といえば当たり前の理屈からの行動であったらしい。

が。

「ついに本性出しよったな」

というのが一徹で、

「葬式を口実に血を分けた弟から大金せしめるつもりやろ」

と、満座の面前でみなほに一徹は言い放った。

しかも。

運の悪いことにみなほはすっかり関西弁が抜けている。

これが心証を良からざるものにした。




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