「デートの雰囲気出るでしょ。待ち合わせした方が」



こう言って定番の待ち合わせスポットでの待ち合わせを提案したのは俺だった。



少しでも恋人らしいことをしておきたい。



日に日にぼやける間隔が狭まり始めた視界に言い知れぬ不安感。



もう少しだけ光来と居させて欲しい。



自分の体なのに、自分に出来ることはこうしてただ願うことだけだった。




行き交う人波がまるで車窓を流れていく景色のようで、その合間から必死に光来を見つけ出そうにも……不明瞭でわからない。



それでもどうにか光来を見つけようと目を凝らしてるうちに、


「優羽ってばっ」


「……あ。光来」


「…………」



途切れた人波の間で、むくれたように口をとがらせた光来に慌ててそこから立ち上がった。