今日の放課後も優羽はわたしの教室には現れなかった。



また居残りでもさせられてるのかもしれない。


それとも昨日のプリントを解いたのがわたしだってバレたのかも……。



一抹の不安を覚えながら、わたしは優羽のクラスへと足を早めた。




「わかった。キャプテンには保留って伝えとく」



優羽のクラスの入り口に差し掛かったところで、ジャージ姿の女の子と出くわした。



彼女は扉を開けながら教室の中を振り返り、少し困ったように溜め息を漏らしている。



確かこの人は……。



「あっ……」



入れ替わりに教室に入ろうとしたわたしと目が合うなり、彼女の困った顔はすぐに厳しい色を帯び始めた。



「ちょっと顔貸して」


「あの……」


「あなたでしょ。今優羽が付き合ってるの」



戸惑うわたしの手首を掴み、有無を言わさず彼女は廊下を進んでいく。



そうだ。
この人は……サッカー部のマネージャーだ。