「ねぇ優羽」


「んっ?」


「誰の為に居残りしてるのかわかってる?」



いつも決まった時間に来るはずの迎えが来なくて。


心配になって出向いたわたしの目に飛び込んで来たのは、


「光来が俺の為に、でしょ」


今目の前にあるにっこり笑顔だった。



今日中に提出するはずだったプリントは白紙のまんま。



ペンすら握ろうとしないで机に突っ伏してる優羽。


それに見兼ねて優羽の問題を解いていくわたしに、



「さすが光来。俺の彼女だね」


「……よく言うね」


「だってホントでしょ。あと三日は」



右手の薬指の指輪にちょんと触れ、悪気ない笑顔を浮かべた。



あと三日。


優羽の恋人としてわたしが居られる時間。



優羽が触れた青白く輝く指輪がそれを強く訴えてくるようだった。