手術後。

頭の中の腫瘍と一緒に、右目の視力を失った。



サッカー部への復帰は断念し、高校も留年が決まり余所に移った。



退院した俺を始業式早々にも関わらず、学校を休んで迎えに来た光来が嬉しそうに笑ってる。


俺の為に学校を休むなって怒ったら、



「わたしの為だもん」



こう言って思いっきり抱き付いてきたのを、ギュッと抱き締め返す心境は複雑だった。




だから。


「たくさん男が居る中でわざわざ右目の見えない自分を選ぶ必要はない」



短くなった髪の毛が伸び始めた頃、無事進級の決まった光来にこう告げて付き合う約束を取り下げた。



「なんで!! なんでそんなこと言うの……」



高校入学の日に突き放した時なんかよりもっと傷ついた顔。
ぼやけないけど狭くなった視界に映る光来はあっと言う間に涙顔に変わってしまった。