椛の誕生日を、祝った翌日。

今日は生徒会業務のある日で、C棟のリビングにはロイヤル部のメンバーが揃っている。ご家族の関係で、日によっては来れない椛も今日は参加だ。



わたしも基本的な仕事なら自分でできるようになったため、いつみ先輩が書類作業をしている間に、彼のパソコンを借りて作業していたら。

ぴろっとパソコンがメールを受信して、それが『理事長秘書』だったために、内容を開いてみると。



「……いつみ先輩。

『15時からスタジオで撮影』ってなんですか?」



「あ?

……チッ、今年やらねえっつっただろ」



内容を悟ったらしいいつみ先輩が、そう言って椛を睨んだ。どうやらご立腹らしい。

何のこと?と首をかしげれば、目が合った先で椛は「パンフ」と答えてくれるのだけれど。



なにがパンフなの。

そしてそのやたらと色っぽい笑みはなんなの。



その笑みを向けられると、どのタイミングで目を逸らせばいいのかわからなくて困るからやめてほしい。

そんな悩みが顔に出ていたのか、「眉間にシワ寄ってるよ~」と笑った彼は、さくっと席を立った。




それからリビングの奥にある、ファイルなんかが整理して詰めてある本棚を漁ったかと思うと、数冊のパンフレットを持って引き返してくる。

どうやらそれは、学校のパンフレットのようで。



わたしが両親に見なくてもいいと言ったあれだ。

……まさかここで見ることになるとは。



「今日の撮影はコレだろ~?」



そう言って椛が差し出したのは、どうやら学部別ではなく、学校全体のパンフレットらしい。

一般的なパンフレットと変わらないと思えば、そこに載っていたのは『生徒会特集』と称されたそれ。



添えられた写真にはいつみ先輩、夕帆先輩、椛と莉央、あとはおそらく去年の生徒会役員らしき人がふたりうつっているのだけれど。

……なにこの膨大なページの特集。



「今年やらないも何も、

一応伝統行事だからどうしようもないわよね……」



夕帆先輩も心なしか嫌そうだ。

なんなんだと、そのパンフレットをぺらぺらと捲って内容に目を通す。