「あしたから、なつやすみだねぇ」



腕に、ぎゅうっと絡んでくるのはいつものごとくルア。

「そうね」と返事しながら、今日もやわらかい髪を撫でた。普段はC棟から出ない面々だけれど、さすがに学校行事の式に出ないわけにはいかない。



というわけで、いまからドームで終業式だ。

普通ならクラスごとの編成なのだけれど、一応生徒会と同じ扱いのため、どうやらロイヤル部は全員揃って一緒にいていいらしい。



「そういえば……

わたし、ドームに入るのはじめてだわ」



「普段は芸能科しか使わねーからな。

それよりルノ、あの話どーなったんだよ」



「ああ、もちろん大丈夫ですよ。

うちなら、椛先輩の家とも近いですからね」



……なんの話?と、莉央とルノを振り返る。

どうやらわたし以外のみんなはその話の内容を知っているようで、ルアは「たのしみだね」って笑ってるけど。




「夏休み、八王子家で集まって遊ぼうって話になってるのよ。

家も近いし顔見知りだから、椛も兄妹連れてこれるでしょう?」



「ああ、なるほど……」



「もちろん南々瀬ちゃんもメンバーに入ってるからね」



「え、わたしもですか?」



「当たり前じゃない。

なんで夏休みに男連中と集まらなきゃいけないのよ」



ただでさえ寮にいたら顔をあわせるのに、とため息をついている夕帆先輩。

どうやらわたしもふくめて夏休み一緒に遊ぶらしい。ルア曰く「プールも、あるよ?」とのことなので、絶対に豪邸だ。



もともとルアが部屋から出てこないから実家に帰省する予定は、なかったものの。

ルアが出られるなら集まる場所を作ろう、ということで、ルノがわざわざ八王子邸を提供してくれるらしかった。