は?と。

わたしが思わずこぼした言葉は、おそらくとても間抜けていたに違いない。



理解できないわたしの目の前に女王先輩が差し出した、一枚のプリント。

『入部届』と書かれたそれに添えられたボールペン。『生徒会執行部』の文字は二重線で消されていて、その隣には『王宮学園ロイヤル部』の押し印がされていた。



まるでわたしが入ることが、決定事項のような。



「……いや、あの。

わたし、ただここに呼び出されただけで、」



「あのね、南々瀬ちゃん。

あたしたちは、ずっと姫を探してるの。今までそれに当てはまる子は、この現状を見てくれればわかるだろうけど、いなかったのよ」



それは、みさとから聞いたから知っているけれど。

わたしの入部とどう繋がるのかと無意識に眉間を寄せていたようで、「お前は条件を満たしてる」と珠王先輩が言う。



条件って、なに。

満たしてるって、どれが、なにが。




……そんなちっぽけな問いが、一つとして言葉にならない。

べつになにか理由があって、嫌、という訳ではない。ただ今は、戸惑いの方が強いのだ。



「悪いが理事長に直談判した上での、強制入部の許可をもらってある」



「強制入部って……」



「お前がここにサインしようがしまいが、ロイヤル部の部員になることは代わりがない。

今はまだ、任意の段階ってだけだ」



「………」



「嫌なら書かなくてもいいし、急遽全員に招集をかけた時だけここに来ればいい。

王学は、理事長直々に正式な理由として認められた生徒以外、全員が部活強制入部なのは知ってるな?」



つまり。

ここに所属さえしていれば、わたしはどこの部活にも入る必要もないし、ここの活動に参加する必要もない。……と、そういうことらしい。