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言われた場所で待っていれば、車だけかと思っていたのにいつみ先輩が乗っていて。
帰りの道中、それはもう平謝りしてしまいそうなほど、彼に盛大に怒られた。心配してくれていたのは分かるから、素直に謝ったけれど。
「今回の件に関わってるヤツ全員呼び出しとけ。
あとで俺が直接話すから、逃げんなよって」
「……絶対あれ女の子たち泣かせる気だぞ〜」
女の子たちを集めておくように指令を受けた椛も、そう言って若干顔色を悪くしていた。
反省してるみたいだから、と宥めたものの、彼は何がなんでも直接話をするつもりらしい。
「つーか、お前よ」
「……うん?」
「……すげーとこ住んでんだな」
莉央にそう言われて、「ああ」と納得する。
今回のことで、どうやらわたしの住んでいるマンションが特定されてしまったらしい。別にいいけど。
「遊びに来てもいいわよ。
……名前書いて、身分証明書見せて、軽い荷物チェックを受けないと来客は通せないけど」
「……そんなに厳重なんですね」
「万が一のことが起きたら困るから、そればっかりは仕方ないわね。
家の鍵になってるカードと暗証番号の二段ロックを解除しないとエレベーターは止まらないし、1階と目的の階まで直通なの」
「ほかに乗るヤツがいたらどうすんだよ」
「あんなマンションに住んでる住民同士が、そんなこと考えると思う?
同じフロアから1階に向かうとき以外は、そもそも同じエレベーターに乗らないのよ」
ふざけてるな、とはわたしも思うけど。
そういうところなんだから、仕方ないというか。