一番突き当たりにあるのが学校の女子トイレ。
わたしはそこまでゆっくりと歩いて行って…
身を翻した。
みんながいる廊下の反対側にある、女子トイレから右折する位置にある廊下を、わたしは全速力で駆け抜ける。
女子トイレの先は空き教室が多いから、誰にも見つかることはない。
『ごめんちょっと先生に呼ばれてる!』
そう手を合わせて申し訳なさそうに謝れば、
『咲〜、死なないでね〜!』
なんてみんなに笑顔で返された。
別に、死なないっての。
てか、みんなみたいに頭悪くないし呼ばれないっての。
なんて、もちろん返さず、
『ごめんね!』
と、なぜ謝らなければいけないのかわからないまま、とりあえず謝ってその場を抜け出してきた。
「はあ、はあ…。」
久しぶりに全速力で走った。
髪がふわっと宙に浮く感じとか、足のわずかに残っている筋肉が引き締まる瞬間とか、全てが新鮮で嬉しい。
たまにこうやって息抜きでもしてないと、わたし、きっと生きていけない。
二週間に一回くらい、誰にも怪しまれない程度に、わたしは昼休みみんなの輪を抜けて、空き校舎へ忍び込む。
教師たちも、生徒が待ちに待った休み時間中にこんな場所へくるとは思ってないらしく、巡回などもあまり見たことがない。
わたしにとっては安らぎの場へとなっている。
「はあ…。」
膝に手をついて大きく深呼吸する。