ーガラガラー



総「おっ、早いな〜」



香「総さんこそ!…珍しいっすね!」



総「うるっせぇ!」



美「…おはようございます、宮野先生」



私は、普通の女子高生のようにただ挨拶をした。



総「…美、月?」



なのに、先生という立場の宮野は私の名をよび腕を掴んだ。



美「なんですか?」



総「お前っ…」



わかるんだ。宮野には。

…そりゃそうだ。ずっとライバルとして戦ってきて、宮野が来龍を抜けた後でもたまに会えば話すくらいに仲はよかった。


だから、宮野にはわかるはず。私の気持ちが。



美「…総。離して」



総「ーっ。……」



宮野は私の腕を離した。総、宮野。…呼び方なんてなんでもないことなのかもしれない。だけど私達は違う。



総「お前がそう決めたなら。俺は何も言えねぇ。……でも、そんな顔を俺に向けんなっ」



苦しそうに言う宮野はこれで2度目だ。…



美「…ごめん。ありがと」



まわりに聞こえなように話していたが、香月は後に着いてこない私に、不思議に思ったのか「美月ー?」と声をかけてきたので、宮野の前を通り、席に着いた。



ーガラガラー



勝「あ!!美月ちゃん香月、おはよー」



修「はよ」



美「おはよ」



香「おっす」



勝「美月ちゃん昨日修也と遊びに行ったんでしょー?!いいないいなぁ!!」


美「あはは〜」


いつも勝の誘いは断ってたもんなぁ。…なんか申し訳ない。















ーキーンコーンカーンコーンー



総「授業始めるから教科書開けー」



教室にいる私以外が男子の学校。そんな学校通う、月龍の人たち。…みんなをまとめている理事長の愛斗さん。…そして、うちのクラスの担任の宮野。……私は昔は宮野のことを"総"と呼んでいた。


宮野と呼び始めたのはいつからだったか。


…多分、あの日から……。



それはまだ私が夜舞の幹部に上がる前、夜舞に入ってから1ヶ月経たないくらいだった。