私は図書館で寝ていた。
『あの、すみません。』
私は誰かに起こされる。
『はい?』
私は目を覚まし戸惑っている人を目をこすりながら見つめた。
『その本見せてもらえませんか?』
私の下には山の風景があった。
『これ、ですか?』
私は彼に見せる。
『これだ…!』
その人は嬉しそうに見ていた。
『あなたもその風景が好きなんですか?』
『うん。この風景に親しみが持てるんだ。不思議だよね。一回も見たことなんてないのに』
『私もです。同じですね』
私達はお互いに笑いあった。
図書館はステンドグラスがキラキラと輝いていた。
「あれ?私、なんの夢をみたっけ?」
私は身体を起こした。けれど思い出せもしなかった。
ーなんか、とても幸せな夢だったのに…。
私はいつもどうり用意することにした。鞄に教科書を詰め込む。
「んっと。よし!」
私は荷物をもって家を飛び出す。
朔はもう学校に行っているのだろう。私は上機嫌だった。
ーなんでだろう。とても気分がいい。
私は口笛を吹きたい衝動に駆られる。
そして学校に着くと校門で何やら人だかりができている。
ーうわっ。
まさかの荷物検査だった。漫画を没収される生徒が見える。
ーよかった。今日は漫画持っていない!
私は安心して先生に鞄を見せる。特に恥ずかしいこともなかった。しかし、先生の手が何かを掴んだ。
ーえっ?
私はその手が掴んだものを見つめる。そこには誰かの財布があった。先生は何やら紙を取り出してそれを交互に見る。
「あとで職員室に来なさい。」
私は足元がぐらつくような感覚を覚えた。
私は職員室で先生二、三人と話をすることになった。
「私は無実です!その財布も心当たりがありません!!」
私は目の前の財布…しかも中から溢れんばかりのお金を見て言う。
「しかし、実際のところ、君の鞄から出てきたんだ。どうであれ、君は罰を受けなくてはならない。それに、君しかあの時お金を盗むなんてこと、できないんだ。」
「そんなっ!」
先生達の目が痛い。私は訳の分からない感情を抑える。
ーなんで?誰がこんなこと…。
鞄の底から出てきた。故意としか思えない。 私は唇を噛む。
「…君には一週間学校を停学してもらう。自宅で課題でもやりなさい。」
「そ、んな。待ってください!私は…!」
「ごちゃごちゃ言わずに言うことを聞け!!」
鉄人は怒りをあらわにする。信じてくれないようだ。担任も私から目を背けてる。
私は教室から荷物を取ってくるように言われる。教室のドアを開く。すると、皆の視線が痛かった。私は叫びたい気持ちを抑える。
「さいってーよね。人の財布を自分の物とでも思ってるのかしら。」
「あー。白石君も物扱いしてるんじゃないの?かわいそー!」
「俺の財布、まだみつからないんだ。ブランド物だし、じっちゃんがくれたものなのに…!」
「そういえば、俺のノートも見当たらないんだ。もしかして伊澤が盗んだんじゃね?」
「学校やめればいいのに」
皆の言葉が痛い。私は手に力を込める。口に力が入らない。席についてさらに絶句した。
ーひどい。
席にはゴミが置いてあった。鉛筆で《金泥棒》とも書かれていた。
私は前の席にいる朔をみる。朔は教科書を読んでいた。隣の席の司馬君は寝ていた。私は涙をこらえて机の中を漁る。
「ーいたっ!」
手から血が溢れる。花をいける剣山があった。
「えっ。何あれ?どんだけ金泥棒に怒ってんのよ」
「さあ?まあ、バチが当たったんだよ。」
女子の何人かが笑っている。私は鞄にたくさん詰め込んで飛び出るように出て行った。
親が迎えに来た。そんなことはしないっ!と怒ってくれる。しかし、先生達の対応は一点張りだった。私は泣くお母さんをなだめて学校を立ち去った。車には父もいた。私は何度も謝罪した。お母さんは私の手にある血を見てさらに泣く。父親は何も言わなかったが口らへの字に曲がっていた。私はそんな両親を見て感謝の気持ちであふれた。