それは近くのスーパーで買い物を終え、家に帰る途中の出来事だった。


「なぁ、イケメン君よぉ、ちょっとお金かしてくれねーかな。」

「君イケメンなんだから、女から貢いでもらえるだろ？」

「俺たち、困ってるわけ。助けてくれるよね？」

「それは大変ですね。ちょっと待っててください。」

電柱に隠れ、足を確認すると8本。

チャラそうな靴6つに綺麗なローファー2つ。

1人相手に3人でカツアゲですか。

しかも、イケメン君はバカなのか？

何信じちゃってんの？

あーもう！

私は我慢の限界に達し、買い物袋を電柱横に隠すと、男たちの前に出て行き、イケメン君ことバカ男の前に入り込み、背を向けた。

「てめぇ何。」

「邪魔だからどいてくんね？」

そういうと私の左腕を掴んできた男。

私はその腕を掴み返し、ぐるりと捻ると反転する男。

その男の首に手刀を落とすとばたりと倒れた。

「な、なにしたお前。」

前髪で顔を隠した不気味な女が一瞬で男を気絶させたことに驚きたじろいている残りの男2人。

「2人もこうなりたい？それともこの男連れて今すぐ帰る？
どっちが賢明かな？」

「あ！こいつ魔女だぜ！南中で噂になってた！」

「は、まじかよ！くそっ。今日は見逃してやるよ！」

と無駄な捨て台詞を吐き、逃げ去っていった。

あ、南中とは私が通っていた南川中学のこと。

ここまで有名人になっていて内心びっくりだ。