「花恵…?」
僕はきょとん,と首を傾げた.隣の空き家に引っ越してきた君はいきなり僕の家に上がりこんで勝手に僕の部屋に入ってきた.
「そう!私,山口花恵!私は君が運命の人だと思ったの!だから将来は私が君の…」
と,勝手に話を進めてくる君に僕は呆れた.大体なんなんだ,運命の人?自分と同じ歳のくせに随分幼く見えた.言っていることも見た目も.挙句の果てに「指輪はめてもらうまで帰らない!」なんて言い始めたし.なんなんだよこいつ.仕方なく,僕は君に帰ってもらうために花壇から花を1つちぎって小さくてふっくらした指にぐるぐる巻き付けたっけ.

それが君との出会い.