【私、やっぱりダメかも…東公園にいるからすぐに来てくれる?】


みなみは母親に甘えられないと言う。

心配かけたくないから、母親の前ではいつも笑顔でいるらしい。


『私が笑うと、お母さんも笑ってくれるから』


そんなアイツが唯一泣ける場所が俺の前で。

だからできる限り、みなみの側にいてやりたいと思った。

タクシーで東公園に着くと、ブランコに女が一人で座っていた。


「こんな時間に一人でいんなよ」

俺に気づくと、みなみは安心したような表情でブランコから立ち上がる。

そして俺の側に駆け寄り、抱きついてきた。

「来てくれないかと思った……」

「んなわけねーだろ……」

「今日お父さんが家に来て、残ってる荷物を持って行ったの。久しぶりに顔を見たらすごく痩せてて……ショックで……」

俺を抱きしめる手が震えていた。

「うん」

「悩んでるのかな、体大丈夫なのかなって心配な反面、顔を見たら恐怖で震える自分もいて…」