「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」


なんで?


どうして?



病院に向かって全力で走る。



そして、智兄に呼ばれた病室へ。



扉をバンッと開くと智兄が窓を見て立っていた。



「智兄?・・・・・・・・・ねぇ、魁音は?」



「・・・・・・・・雫。早かったね。」



「そんなのどうでもいいから!!ねぇ、嘘でしょ?さっきの電話!!ねぇ、なんで、魁音はどこにいるの!?」


私は混乱してうまく話せない。


だって、


嘘だよ。


魁音が・・・・・・・・死んだなんて。



さっきまで私は普通に家族と朝ごはんを食べていた。


そして、突然鳴ったスマホ。


相手は智兄。


電話の内容はひとつ。


「病室に来てくれ。・・・・・・魁音が死んだんだ。」


それだけだった。


私はすぐに家を飛び出した。


駅に向かって走る。


早く、早く、早く。


いつもと同じ電車なのに、全然違う。


私だけが違う世界にいるみたいだった。