ケータイ小説 野いちご

羽をくれた君へ。

第1章
変わる日常

「じゃあねー!雫ー!」


「うん!また明日ーー!」


学校を終えて私はある場所に向かう。


駅前の隣の路地を通った先にある小さな店。


「雫!おかえりー。早かったねー。」


「魁音の方がいっつも早いじゃん。どうやったらそんなに早く来れるの?」


「えぇー、秘密ー。」


私はあの時、魁音に会ってからほぼ毎日のようにここで会う約束をしている。


俺のギターに合わせて歌ってよ。


そう言われた後、私は混乱して何が何だか分かんなかったんだけど、魁音の方は本気みたいで、今ではこのお店でほぼ毎日歌ってる。



本当に偶然の出会いがこんなことになるなんて。


私は魁音と約束して、家出はやめた。


でも、家では何も話さなくなった。


私が話さなくてもお母さんは何も言わなかったし、お父さんも気にしてないようだった。


家に居場所が無くなった代わりにこのお店が私の居場所になった。


毎日会ううちに呼び方もお互い呼び捨てになって、私は魁音と呼ぶようになった。


「ねぇねぇ、課題なんでいいから早く歌おうよー。」



< 11/ 183 >