「おいっ!葵!あおいっ!!」



またか、と思った。



夜、酒を飲んだら俺を殴るのは日常茶飯事だった。




そんな、中学校生活最後の夏。





気がついたら夜は、家では眠れなかった。


そして。


「父さん。俺、独り暮らししたいです。」



「んだとぉ?言い訳ねーだろーが。ガキが。」


「もう、1人でも生きていけます。」




「無理だろう?」



嘲笑うかのように、「無理だ」と言ってのけた父さんに嫌気がさした。



そして中学を卒業して、父さんには内緒でアパートを借りた。


それがここの家。




たいして広くないし、ボロいし。



でも管理人さんがいてくれてよかった。


じゃなきゃ今頃路頭に迷っているだろう。




そして現れたのが、光璃。




「な、な、な、、、っ!」



金魚みたいに口パクパクさせて俺がいるのを驚いてたっけ。



不思議と俺は驚かなかった。



ただ思ったんだ。