丘から見下ろした町は小さかったが、それでもすぐにたどり着くと思っていた。


そもそもこれは僕の夢なのだから、突然場面が切り替わって見慣れた自分の町に戻ったりするかもしれないと期待していた。


しかし、山を下っても下っても出口は見えず太陽は徐々に傾き始めていた。


肌に感じる夕方の肌寒さはとてもリアルで、僕は何度も身震いをした。


「こんなにリアルな夢を見たのは初めてだ」


僕は1人呟いた。


歩くたびに足元の草木を踏みつけ、パキパキと音が鳴る。


靴の裏から伝わって来るその感触もとてもリアルで草木の下の柔らかな土まで感じ取る事ができた。